フェミニストっていうと、ちょっと引かれてしまう、そう思ってた。
いや、今でもそう思ってる。
でもアルテイシアさんのように声を上げてくれる人がいたから、得られた権利がたくさんあるのだろう。
本の紹介
あらすじ
男尊女卑がはびこる日本で女はとにかく生きづらい。入試や就活で差別され、セクハラパワハラ当たり前。そんなヘルジャパンを変えたくて、怒りのイマジナリー法螺貝を吹き始めたJJ(熟女)がここにいた!「フェミニズムに出会って自分を取り戻せた」著者による、爆笑フェミニスト宣言の書。長年憧れだった田嶋陽子氏との感涙の特別対談も収録。
アルテイシア「フェミニズムに出会って長生きしたくなった。」幻冬舎文庫
読んだきっかけ
痴漢だったり、わざと肩をぶつけてくるおじさんだったり、セクハラだったり…
チカラ・立場の強い側の人が、チカラ・立場の弱い人の安全を脅かしてくる状況に、吐くほどイラついていた。
そういった状況に怒ってくれていて、ユーモアがたっぷりという評判のこの本を読んだ。
心に残った一節
私もバーで飲んでいる時にイヤな目に遭ったことは何度もある。ある時は店にいた3人組の男が痴漢冤罪の話を始めた。「日本は女尊男卑だ!おっさん専用車両も作れ!」と彼らは大声で笑っていた。
アルテイシア「フェミニズムに出会って長生きしたくなった。」幻冬舎文庫, p.18
私はガタッと立ち上がり「公の場で性暴力の話をするのやめませんか?私も女友達もほぼ全員が幼い頃から痴漢被害に遭ってます。今このお店にいる他の女性客もそうでしょう。ところであなた方は痴漢冤罪被害に遭ったことはあるんですか?」と注意することは、できなかった。
この一節の赤字のところが特にすごい。
痴漢の話になると、たいてい痴漢冤罪の話が出てくる。
痴漢冤罪も人生が狂わされる点では軽視できない問題だけど、発生件数が違いすぎるよね。
ていうか、こういった発言をされると痴漢されたときに声があげづらくなると思うんだよ。
今まで声をあげてきた人、これから被害に遭ってしまったときに声をあげる人、こういった人たちの声をつぶさないで。
あとさ、こういう発言する人って、痴漢冤罪には同情できるけど、痴漢される人には同情できないって感じなのかな?
何もしてないのに加害されるのがこわくないと思うの?
何とか声をあげても、犯人は捕まらないかもしれない、報復されるかもしれない。
頑張って過去に性暴力に遭ったことを告白したとしても、自衛がたりない、誘うような恰好をしていたんじゃないかと被害者側が責められる。
痴漢冤罪をこわがっているのは痴漢しない人たちだと思うけど、「痴漢がこわい」に対して「痴漢冤罪もこわい」って返してくるのは、敵対してる感じがあるからやめてほしい。
「痴漢冤罪もこわいから一緒に痴漢撲滅しよ」って返せばいいのに。
あと、引用部分を書いてて「女尊男卑」って1回じゃ変換できなかったんだけど、本当に「女尊男卑」な世の中なら予測変換に出てくるんじゃないかと思った。
この本を読んで
もともと、痴漢などの性暴力や、被害を告白した人たちへの二次加害に怒っていた。
でもなにか活動しているわけでも、そういうの辞めようよと声をあげてるわけでもなかったし、フェミニストって言ったらヤバイやつみたいなレッテルを貼られそうでこわかった。
それに、フェミニストってもっと専門的に勉強した人たちが名乗れるものだと思ってたし。
でも、この本を読んで、性差別撲滅に興味があるならフェミニストって名乗っていいし、ヤバイやつレッテルを貼って性差別について考えない人たちにこそフェミニズムについて知ってほしいと思うようになった。
そうはいっても、実際になにができるの?ってなる気持ちもわかる。
そこでこの本では、そういった『傍観者』のための動画が紹介されている。
著者とYouTuberのシオリーヌさんとが製作した動画で、被害者でも加害者でもない第三者の介入を促すものになっている。
私の経験
私は、大学の教授に「最近はすぐセクハラパワハラって言われるからね~」みたいに言われたときに、ハハハと笑って返してしまった。
「実際に被害を受けている人が声をあげやすくなるので、いい変化だと思いますよ~。アハハ」くらい言えればよかったと、今は思う。
今まで特権側が何も気にせず自由にできていたのは、被害者に我慢を強いて声をあげさせなかったからで、そういった発言がまた被害者の声をおさえつけているということにも気付いてほしい。
だから、そういった発言がでたときに、その発言はまずいんじゃないかオーラをだせるようになりたい。
まとめ
アルテイシアさんの「フェミニズムに出会って長生きしたくなった。」についてレビューでした。
おすすめの本
この本に興味ある方にオススメな本もまとめておきます。
『マチズモ=男性優位主義』がはびこる日本の日常について、担当編集者からの檄文(げきぶん)を受けて、著者が考察・解体していく。
女性がマチズモに怒っているとヒステリーだのブスの僻みだの言われるが、この著者は男性であるため、そういった層にも届けられるのではないかと希望を感じる。
結婚すると強制的に同姓になるのは、世界中で日本だけって知ってた?
妻側の姓にした著者が遭遇する理不尽や不条理の体験ルポで、最後に収録された「妻の姓を選んだ夫たちの座談会」も興味深いものだった。
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