本の紹介
著者紹介
橘 玲(たちばな あきら)
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信やダイヤモンド社との共同サイト『海外投資の歩き方』など精力的に活動の場を広げている。
橘玲『幸福の「資本」論ーーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』ダイヤモンド社
この本を読んだ理由
何に悩んでいた?
何に疑問をもった?
何を改善したかった?
『少ないものとお金で楽しく暮らす』情報を発信している、なにおれさんのメルマガで、よく勧められている本の著者に橘玲さんがいたので、どれか著書を読んでみたいと思っていた。
「過去の著書の内容も新しい著書に書いてある」という口コミを見たため、図書館ですぐに借りられるもののうち一番新しいものを選んだら、この本(幸福の「資本」論)になった。
さっき確認してみたら、なにおれさんの人生を変えた本としてオススメされていた『ライフ・シフト』の内容を補完する本が2冊挙げられていて、そのうちの1つが『幸福の「資本」論』だった。
オススメされていた本たち↓
気づきを得た一節
この本は私にとって気づきの多い本だったけど、その中でも特に印象に残った部分を紹介する。
標準的なファイナンス理論にもとづけば、老後の人生設計で大事なのは自分の平均余命を知ることです。日本人の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳ですが、だからといってこの年齢までの計画を立てておけばいいわけではありません。
橘玲『幸福の「資本」論ーーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』ダイヤモンド社,p.178~179
平均寿命は、出産直後に死亡した乳幼児も含めたすべての日本人の寿命の平均です。50歳まで生き延びたということは、それ以前の死亡率は無視してかまわないわけですから、当然、平均寿命よりも長生きすることになります。これが平均余命で、50歳の男性は32.39歳、女性は38.13歳が平均的な人生の残り時間です。もちろん平均余命に達したらそれで終わりというわけではなく、男性は80歳、女性は85歳の「天寿」になっても、さらに8年以上の余命があります。
「たしかに…」ってなりませんか?
この本は2017年に出版された本なので統計データはやや古いため、今はこの時期より平均余命は延びている。
本で示されていた平均余命の表を令和3年のデータで作り直したものを以下に示す。
年齢 | 男 | 女 |
50 | 32.93 | 38.61 |
55 | 28.39 | 33.91 |
60 | 24.02 | 29.28 |
65 | 19.85 | 24.73 |
70 | 15.96 | 20.31 |
75 | 12.42 | 16.08 |
80 | 9.22 | 12.12 |
85 | 6.48 | 8.60 |
90 | 4.38 | 5.74 |
ちなみに平均寿命は、男は81.47歳、女は87.57歳だった。
ながっっっ!!
平均寿命で語られることが多いから、思っていたよりお金が足りないってなるのかな?
老後問題に対して著者は、働く期間を延ばして老後を短くするといいと述べています。働く期間を仮に20年延ばせば、その間にいくらか収入を得られる上、老後も80歳から始まることになる、ということ。
「長すぎる!そんなに働かないとだめなのか」と思った方いません?(私はめちゃくちゃ思った)
こんなに長く嫌いな仕事をするのは苦痛以外の何物でもないから、著者は、長寿化した社会では好きなことを仕事にして人的資本(働いて稼ぐ力)を長く維持することが唯一の選択肢と言っている。
この本を読んで
読む前と読んだあとの考えの変化
この本はタイトルにある通り、「3つの資本」をベースに幸福を実現するためにはどうしたらいいか、というようなことが書いてある。
3つの資本とは、人的資本、社会資本、金融資産である。
人的資本と金融資産に関しては、別の書籍などで見かけたことはあったけど、社会資本という考え方とは初めて出会った。それぞれの意味について本文から引用する。
投資家は、自らの金融資本を金融市場に投資して(リスクを取って)富を獲得しています(そしてしばしば損失を被ります)。同様に、人的資本とは自らの労働力を労働市場に「投資」して給与や報酬という「富」を得ることで、社会資本とはまわりのひとたちとの関係性から「富」を得ることです。
橘玲『幸福の「資本」論ーーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』ダイヤモンド社,p.29
さらにまとめると、金融資産は金融資本から得る富のこと、人的資本は労働から得る富のこと、社会資本はまわりの人間関係の満足感(富)のことといった感じだろう。
著者が3つの資本について思い至ったのは、鈴木大介氏の『最貧困女子』(幻冬舎新書)を読んでからだと言う。
『最貧困女子』では、貧困に苦しむ女性と対比して、同じ貧困ラインにいるはずなのに生活が充実している『プア充』女子を取り上げていた。
あまり稼げていなくても充実している『プア充』たちはなぜ幸福なのか考えると、”地元愛”、”友情”でつながる社会資本を持っているからだ、と思い至ったようだ。
死ぬ直前に後悔することの中に、友人ともっと連絡を取っておけばよかったというようなことが入ってくるのは、幸福の土台に社会資本があるからだとも考えられる。
これから自分の人生の幸福について考えるときは、この「3つの資本」をベースに考えられるため、より解像度を高めて未来を見据えることができるだろうから、読んでよかった。
まとめ
以上、橘玲さんの『幸福の「資本」論ーーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』のレビューでした。
レビュー中に紹介した本と『幸福の「資本」論』に興味がある方にオススメな本を紹介します。
レビュー中に紹介した本
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この本に興味がある方にオススメな本
たぶん、phaさんの書く生き方は橘さんが言うところの『貧困』に分類されると思うけど、それでもわりと幸せに生きていけるのだという気付きをもらえる本。
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